畜産の盛んな兵庫で、本場ドイツの味を。 手作りハム工房「デア シュタインボック」

佐用町の買い物中心地、西山橋の交差点を北に向かうと「手作りハム工房」という看板とともに青と白に彩られた旗が見える。おや? と、気になったあなたは大正解。ここは国内でも珍しい、本場のドイツハムが食べられる貴重なお店なのだ。

新鮮な豚肉を使い、添加物は出来るだけ控えめに

三角屋根がかわいい山小屋のようなお店のショーケースに、ずらりと並べられたハムやベーコン、ソーセージたち。それぞれの名札にある「ヤークトヴルスト」「ビアシンケン」といった難しいカタカナにひるむことなかれ。その下には使用された部位やおいしい調理法が細やかに説明してあり、その豊富なバリエーションに驚くはず。

素材の旨みを引き立たせたハムやソーセージを口にすれば、市販の加工肉とはまったく違う芳醇な味わいに思わず唸ってしまう。例えば薄い皮で包まれたソーセージ「フライッシュブルスト」は、いわゆる“パリッとした”食感でごまかさない、濃厚な肉の旨みが感じられるひと品。他にも豚のタンとピスタチオが入ったソーセージや、ピザの具(トマト、チーズ、パプリカ)を入れた「ピザケーゼ」など、スーパーでは滅多にお目にかかれない本場ドイツの食肉文化が花開いている。ちなみに「無塩せき」と書かれているのは、塩せき(発色剤)を加えずに作られたもの。淡白な色は肉を加熱した自然な色みなので、体に優しく素材本来の風味が楽しめる。

56歳で大手企業を早期退職し、一路ドイツへ

もともとは神戸の大手メーカーで勤めていた、店主の原田誠さん。リタイアを前にした56歳のとき「手に職を」と、単身ドイツに渡った。半年間ドイツ語を学んだ後、職業訓練校に入学。3年間学校に通いながら親方の元で実技を学ぶと、卒業後はマイスター学校へ。さらに3ヶ月間研鑽を積み、ついに食肉マイスターの資格を取得。そして帰国後の2016年、夫婦揃って縁もゆかりもない佐用町に移住したと聞くと、その勇気ある人生の舵切りに感嘆してしまう。「自然が美しく、駅からも近い。新鮮な肉も手に入ることで決めました」。

現在は、鹿肉などのジビエを用いたウインナーを開発中という原田さん。取材時には残念ながらなかった無塩せきの「鹿肉ジャーキー」は、ここでしか手に入らないレアな逸品。来店時に見つけたなら、ぜひお買い上げを。

マイスター学校卒業時の記念写真(前列右端が原田さん)

店主の原田誠さん

 


Der Steinbock

デア シュタインボック
住所:兵庫県佐用郡佐用町佐用963-1
電話番号:0790-65-9741
営業時間:10:00〜18:00
定休日:日・月曜